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「エコロジカル・デモクラシー」を一緒に読んでみませんか?

 2024年元旦に発生した能登半島地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。​自然の猛威にはいつも驚かされますが、同時に自然とともにある暮らしの尊さを想わずにいられません。自然から遠のく社会ではなく、自然の中にある社会を目指すことが、自然とともにある民主主義で社会を変えていくことが、いま必要ではないでしょうか。

 エコロジカル・デモクラシーは、自然と社会を見つめ直し、2つを同時によりよい姿へ変えていくための思想であり、デザイン手法であり、新しい文明論です。

 コロナ禍で、私たちは様々なことに悩んできました。社会の不寛容さや、ともすれば社会が分断されてしまいそうな民主主義の危機も感じます。そのような困難を抱える中、私たちは改めて、自然や人とのつながり、交流の尊さと大切さを強く実感しています。そして、都市における自然との関りが社会をよいものに変えることができ、公正な社会であるこそ、自然を保ち、人間に有用な姿に変えていくことができることに、私たちはもう気づいているのではないでしょうか。自然と社会を一緒に考えて、これらをよいものになるように行動するために、エコロジカル・デモクラシーのデザインが役に立ちます。私たちのために、そしら私たちの子どもたちの世代のために、世界と社会を新しくデザインする手法を教えてくれます。エコデモセミナーで、一緒にエコロジカル・デモクラシーの思想を学び、社会実装に向けた実践について考えてみませんか?

 エコデモセミナー第8期は、エコデモ財団理事・清野隆が世話人を務めます。一緒にエコデモを読み進める仲間が感想や意見を交換し合い、みんなで学びあうコミュニティをつくります。本との対話、仲間との対話を繰り返し、まちづくり、建築、都市農村、ランドスケープ、地域再生、観光、社会、経済、それらのデザインの考察を集積・蓄積し、束ねることで、新しいアイデアや価値が生まれる場をつくりたいと思います。エコデモセミナーを通じて、1年後の新しい世界–コロナ後、そして10年後の新しい世界–SDGs後、さらに100年後の新しい世界を、一緒に展望しましょう。

2024年3月吉日

セミナー世話人 清野隆(エコロジカル・デモクラシー財団理事)

エコデモセミナーとは

 エコデモセミナーは、「エコロジカル・デモクラシー まちづくりと生態的多様性をつなぐデザイン」(ランドルフ・T・へスター著、土肥真人訳、鹿島出版会、2018年4月18日発刊。原著タイトル「Design for Ecological Democracy」)を、5~10名の仲間(大学教員、ランドスケープ、建築、都市計画などの実務に携わる専門家など)と一緒に読み、納得や共感、疑問点などを共有し、更に理解を深めてゆこうという企画です。期間は6か月、10日間で1章分を読み、感想を書き、オンラインミーティングで他の参加者や世話人と対話します。所定の修了要件を満たしたセミナー生に修了証書をお渡しします。

 オンラインミーティングには当財団代表理事の土肥真人も参加し、訳者として、コミュニティ・デザイナーの先導者として、参加者と一緒に、日本におけるエコロジカル・デモクラシーのまちづくりについて対話します。

これまでに実施したエコデモセミナーを受講した​修了生の声をご紹介します。

「エコロジカル・デモクラシー」とは
 Design for Ecological Democracyの邦訳「エコロジカル・デモクラシー まちづくりと生態的多様性をつなぐデザイン」が、2018年4月に、鹿島出版会より公刊されました。素晴らしい本が日本の読者にも簡単に読めるようになるのは、本当にうれしく素晴らしいことです。
 この本の著者ランディは本書のエピローグでこんな風に言っています。エコロジカル・デモクラシーって耳慣れない言葉ですが、希望の言葉なのです。
 「この本を書くことで私の楽観主義はますます強くなった。私たちを取り囲む絶望や私たちが暮らす環境の貧弱さに私が打ちひしがれていたまさにその時にも、エコロジカル・デモクラシーは、そこここに根を下ろし、芽を出し、花を咲かせていたのである。この本ではそんな事例を報告してきた。これらの事例を見て私は、エコロジーと民主主義が結びついて永続し充実した未来をもたらされることを確信した。私はエコロジーと民主主義を織り合わせて、あるべき都市形態の理論とした。」エピローグより。

エコロジカル・デモクラシーのためのデザインにおける15原則についてまとめられた本です。

そもそも「エコロジカル・デモクラシーって何?」と興味を持った方、こちらをご覧ください。
 
エコロジカル・デモクラシーを進めてゆくには3つの形態、15 原則が必要だとされ、これに倣い本書は3部15章構成となります。
1,2,3部の冒頭にそれぞれの形態についての解説があり、その後に5章ずつ配されていきます。
これにイントロダクションとエピローグ、索引が加わり、全部で500ページを超える大部です。

<部と章の構成>
1.エコロジカル・デモクラシーを「可能にする形態」[Enabling Form]に関する5原則
 ①中心性―センター[Centeredness]、
 ②つながり[Connectedness] 、
 ③公正さ[Fairness] 、
 ④賢明な地位の追求[Sensible Status Seeking]、
 ⑤聖性[Sacredness]、

2.エコロジカル・デモクラシーを襲う様々な衝撃から「回復できる形態」[Resilient Form]に関する5原則
 ⑥特別さ[Particularness]
 ⑦選択的多様性[Selective Diversity] 
 ⑧密度と小ささ[Density and Smallness]
 ⑨都市の範囲を限定する[Limited Extent],
 ⑩適応性[Adaptability]

3.エコロジカル・デモクラシーを「推進する形態」[Impelling Form]に関する5原則
 ⑪日常にある未来[Everyday Future]
 ⑫自然に生きること[Naturalness]
 ⑬科学に住まうこと[Inhabiting Science]
 ⑭お互いに奉仕すること[Reciprocal Stewardship]
 ⑮歩くこと[Pacing]

15原則の間の関係、3つの形態の関係についてはエピローグに描かれています。

 
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